スーパーで売っている「カット野菜」の栄養ってあると思いますか?また安全面はどうなの?
公開日:2015年7月21日
スーパーやコンビニへ行くと、大抵どこのお店でも販売しているのが「カット野菜」です。通常の野菜コーナーとは少し離れた場所に置いてあるので、普段から手料理を作る方には馴染みは薄いかもしれません。ですが1人~2人分用に丁度良い量で、1人暮らしの方や2人用の野菜を求めている方、忙しくて手間を減らして料理したい方に人気です。
カット野菜でよく言われるのが、カット野菜には栄養がほとんど無く綺麗にするために薬品などで洗浄しているため、食べる意味が無いという意見を耳にします。
はたして本当でしょうか、調べてみます。
カット野菜に栄養はない?
巷でいわれている情報やネットの情報を簡単にまとめると、以下の点になります。
・カット野菜は洗浄されている
何回も洗浄されているので、栄養が流れ落ちているので食物繊維くらいしか栄養は残らないという意見が多い。確かに洗浄すると栄養が減少することは間違いありません。
ビタミンCなどは水に溶けてしまうので、栄養は減るでしょう。その反面、水に溶けにくい栄養素もあります。ビタミンAやビタミンEなどは溶けにくいです。
出典:日本調理科学会 平成21年度大会 カットレタスの洗浄方法の違いが栄養成分に及ぼす影響について
カット野菜として需要が高いレタスについて、次亜塩素酸ナトリウムによる洗浄殺菌処理と水道水による洗浄処理がカットレタスの栄養成分に与える影響を明らかにすることを目的に本実験を行った。
洗浄に用いられるもので多いのは、「次亜塩素酸ナトリウム」「電解水」「オゾン」などがあります。これらは普通に東京や大阪など全国の水道水に使われています。
調製したカットレタスの栄養成分データについて比較した結果、いずれの栄養成分においても各調製試料間に有意な差は確認されなかった。以上の結果より、洗浄方法の違いによってカットレタスのビタミンC及びミネラル類(カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄)に有意な損失はないことが示唆された。
水道水で洗おうが、次亜塩素酸ナトリウムで洗おうが栄養の残り差はほとんど変わらないといえます。次亜塩素酸ナトリウムは、菌を殺すために使われているので、水道水にも使われています。
調理方法によっても、煮たり焼いたり揚げたり、野菜によっては栄養がほとんど飛んでしまうような調理法方もあります。
出典:茨城県工業技術センター研究報告 次亜塩素酸ナトリウムによるカットキャベツの殺菌と日持ちへの影響
無殺菌区のビタミンCはカットのみの無処理に比べ、ほぼ76%に減少した。ビ
タミンCは水溶性であるため、水洗で溶出したものと考えられる。塩素処理直後のビタミンCの減少は予想より僅かであり、殺菌区のビタミンCは無殺菌区の92~95%が残存した。しかし、貯蔵中に殺菌区のビタミンCは減少し、4日後は無殺菌区の81~85%に減少した。
ビタミンは水溶性であり、20~30%位は減ってしまうことが分かる。確かにカット野菜は通常より栄養素は減少するかもしれませんが、そこまで心配するほどの量ではないでしょう。
洗浄殺菌処理をした直後と、処理後4日間でのビタミンの残り値を計測したデータです。
この結果からも分かるように、カット野菜は栄養素がほとんど残らないというのは、嘘であることが分かります。
次亜塩素酸ナトリウムは安全?
洗浄に使われている「次亜塩素酸ナトリウム」は野菜のラベルやパッケージには記載されることはありません。これは食品添加物ですが、食品に影響を与える程度ではないとされ表示義務が免除されています。
最近では生の魚や海藻類にも次亜塩素酸ナトリウムが使用されているので、一般的に使用されているものです。
何でもそうですが、安全な食材と断言できる食材はこの世にはないでしょう。塩も砂糖も油も、水自体も取り過ぎてしまっては毒になり、体に悪いのです。
お菓子などのジャンクフードやどこかのバーガー、添加物だらけのインスタントなど注意するべきものはたくさんあります。カット野菜が危険、スーパーで売っている魚は危険、パンは添加物が多いから危険、野菜は農薬が使われているから危険、というと何も食べられなくなります。
大事なことはそれが使われている量で、取りすぎは何でも良くありません。1つのものにこだわらず栄養のバランスを考えて、幅広い栄養素を補給する、これが大事ではないでしょうか。
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