国内でバターが減っている原因とマーガリンの中身について

よくニュースで「バターが無くなってきた」「品薄で値段が高い!」なんていう記事が流れていたりします。店頭で家庭用のバターの販売が減ってきて、お一人様1つまでという案内までするスーパーもあるようです。ではなぜここまで少なくなってきたのでしょうか、これは何も今年だけに限った話ではなく、今後ずっと続く日本の課題のようです。
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なぜバターが減っているのか

バターやマーガリンといえば、パンに塗って食べたり、バターを使って炒め物や油の代わりにフライパンに引いたりと大活躍します。クリスマスや洋菓子店などでもバターは大量に消費されるので、年間を通して需要が高い商品です。

バターが日本国内で不足するとのニュースが日本中で話題にありましたが、なぜ無くなるのでしょうか。その原因として有力なのが、酪農家の減少です。つまり牛を育てる人が減って絶対量が少なくなってきたということなのです。

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出典:中央酪農会議

酪農家の数は驚くほど減少し続けている。今の若い世代には酪農家になろうとする人は少なく、このままいくとどこまで減少するのだろうか。解決方法はいまだわからない状態にあります。

出典:酪農家減少 原料の生乳不足

国内の酪農家はピークの約42万戸から2014年は約1万8000戸まで減少。生乳の生産もピークの1996年度は約866万トンだったが、13年度は約745万トンにとどまる。乳製品の加工は、消費期限が短く高く売れる飲用の牛乳が優先され、保存ができるバターなどが最後になるため不足する。

42万戸あったのが40万2000戸が廃業し残るは、1万8000戸しか残っていないのだ。生産数も減少の一途をたどっているが、牛乳はそこまで困ってはいない。それは牛乳を優先して作っていて、バターは後回しに作っているスタイルをとっているからだ。

政府がバターを確保したが今後も続きそう・・・

政府は減少したバターを何とか確保しようと、大手乳業メーカーへ出荷量を増やすよう要請したが、根本的な解決には至らない。なので海外から直接輸入し、オイルショックならぬバターショックが起こらないようにしているようだ。

ちなみに国が輸入するバターというのは、個人向けのバターではありません。バラバターとよばれる業務用の冷凍バターです。これは品質保持期限の長いのが特徴です。

これをメーカーが使うことで、本来は業務用に使うはずだったバターを家庭用のバターとして作っていくことが出来るという順番です。

出典:バター不足、数字上は回避か…店頭は今も品薄感

農林水産省は5月、Jミルクが当時の需給予測でバターが9900トン不足すると指摘したことを受け、1万トンの緊急輸入を決めた。今回の予測では、この効果もあり、数字上は不足が回避されそうだ。ただ、スーパーの店頭では、今も「お一人様一点限り」などと購入を制限しているところが多く、品薄感がある。200グラムあたりの小売価格は、前年より約6%高い430円台で高止まりしている。

なんだかバターが高いなと思った方、それもそのはずバターの小売価格は上がっているのです。そうすると消費者にしわ寄せが来て、値上がりになって行きます。

数少なく残っている酪農家も高齢化が進み、どんどんと酪農家を辞めていっています。特に今後は環太平洋経済連携協定(TPP)で、農家の未来もどうなるか不透明になってきているのもあり、今後の農家事情は決して明るいとはいえない状況にきています。

農家は年収が高く、儲かるのは昔の話です。酪農家が使う穀物飼料の輸入価格も上がっています。10年前の3倍近くに高止まりが続いている状況で、農家の経営を圧迫しているのが現状です。今後もますます輸入に頼らなければいけない現状が、日本国内には存在します。

バターの輸入を増やして対応をし続けるのか、バターを使う量を減らしたり他の材料にシフトチェンジしていくのか、今後考えていかなければいけない課題となっています。

マーガリンが危ない?

バターに似た材料としてマーガリンがあります。古くから日本でも食べられていたマーガリンですが、中に含まれる「トランス脂肪酸」がかなり危険でアメリカで禁止される事態になりました。

出典:米国で「トランス脂肪酸」禁止、日本はどうすべきか?

2015年6月12日、米国食品医薬品局(FDA)が、食品事業者に向けて、マーガリンなどトランス脂肪酸が多く含まれる加工植物油脂の使用を事実上禁止する旨の通達を出した。
現在までに明らかになっているトランス脂肪酸の健康への影響は以下の2点である。
1)血中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を高めること
2)心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患に罹患するリスクを高めること
これ以外にも様々な健康被害が報告されているが、仮説段階のもの多く、今後の精密な実験やデータ収集が待たれるところである。少なくとも、トランス脂肪酸を食べ続けると重大な健康被害をおよぼす可能性があるということが判ってきた。

要約すると、マーガリンには「トランス脂肪酸」が多く含まれていて、それが健康に悪影響を及ぼす事が分かった。このまま食べ続けるのはかなり危険だ、ということです。ファーストフード店が多く、肥満大国といわれるアメリカが禁止するというのだから、よほどの事なのだろう。

私自身も昔はマーガリンを食べていたが、最近ではバターしか食べないようにしている。

昔はバターよりマーガリンのほうが低カロリーで、健康だというイメージがあったが今は全くの逆である。日本国内では禁止されることはないそうだが、トランス脂肪酸に対する健康意識が低いということだろう。生活習慣病につながる、若い世代が好む加工食品やお菓子、外食の材料にトランス脂肪酸は多く含まれており、今後の対応が急がれそうだ。



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