水耕栽培はビジネスとして成り立たないのか?
公開日:2015年7月3日
水耕栽培で大規模工場を作り、ビジネスにしていた会社が経営破綻しました。水耕栽培での野菜作りはビジネスとしては厳しい分野なのでしょうか。
出典:みらい
今までの野菜を栽培する場所としては、農家が育てる土耕栽培が主流でした。しかし、天候の変化で日照時間が不安定になったり、菌や害虫により生育環境が著しく悪化したり問題点は多々ありました。台風でビニールハウスが飛ばされたり、強風で砂を被ったり黄砂をかぶったり、木からりんごや梨やブドウが落ちたり、ニュースで良く見かけます。
水耕栽培で農地を工場にして栽培する
この会社は水耕栽培で、土耕栽培時の農地にあたる部分を、工場として稼動できるようにしました。工場ではLEDの人口照明を使い日照時間を管理し、水と肥料で育てます。
出典:植物工場のしくみ
・台風や大雪でも安定した生産、収穫ができます
・グリーンルームは外気を遮断し、断熱性のある施設のため、農薬は使いません
※害虫・花粉・ウィルスの心配もありません
・「いつ・どこで・どのように生産されたか」というトレーサビリティを明示できます
・栄養価が高く、特にビタミン・ミネラルが豊富
独自の栽培システムを組み立てて、日々得られる栽培データからの栽培ソフトで温度や日照を制御して栽培します。テレビ番組の「ガイアの夜明け」でも放送され話題になりました。
主な栽培可能野菜:レタス・グリーンリーフ・サンチュ・ロメイン・からし水菜・春菊・三つ葉・ペパーミント・コリアンダー・ケール・ルッコラ・クレソン・ロロロッサ・レッドロメインなど。
工場のノウハウを提供してくれる
この会社の面白いところは、工場のシステムのノウハウを提供してくれ自分でも面積に合ったシステムを導入できるというところです。遊休地を活用したり、土地が余ってる方は事業として農業未経験者でも安心でした。
工場で育てると、土で野菜を育てるのと異なり農薬を使わないし、安定供給で安価で生産者が分かるので水耕栽培は食べるのに最適です。
現実は厳しい、事業が成り立たなくなった
ビジネスとしては面白く、野菜が高騰し台風でもびくともしない生産方法は魅力的です。赤字で資金がショートしたということは、方法が良くてもビジネスとしてやり方がまずかったのでしょう。
出典:野菜工場で有名な「みらい」が民事再生法申請 販売不振で資金ショート
「ガイアの夜明け」などのテレビ番組のほか、新聞、雑誌などで広く取り上げられた。今年3月期は売上高10億円をあげた。しかし昨年建設した2工場の費用がかさんだうえ、野菜生産が不調となり、今月、資金ショート。収支も赤字となった。
私もこういうビジネスは良いと思いますし、安全で安価な野菜が安定供給できる手法はもっともっと広がっていってほしいと思います。
ユーイングのグリーンファームで育てると赤字か?
私が育てているシステムで、ユーイング社のグリーンファームのGreenFarmCubeですが、1ヶ月の電気代は約185円です。これに種子代もあわせると・・・種子はたくさん入っていて1回では使い切れない野菜もあります。大体1ヶ月あたり300円~500円位が維持費・メンテナンス費として必要です。
ここから本当にビジネスとして考えて赤字にしないためには、野菜を選ぶ必要があります。レタスなど種子がたくさん入っている野菜は1袋5~6回分の栽培で300円位の種子代が必要です。逆に1袋に1回で使い切るような量しか入っていない野菜の場合、プラマイゼロくらいでしょう。
しかし工場として稼動を考えると、人件費や消毒費(入る前に長靴を消毒)・広報費や土地代など様々な経費や税金がかかってきます。ベンチャー企業でチャレンジする企業も今後出てくるでしょう、ですが、アイデアからうまく利益が残る方法を追求していかないと生き残りは難しいといえます。
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